研修医の指導

ブログ更新が滞っており大変申し訳ありません。

先日より良いクリニック運営につながるよう、とある資格試験を受験してきました。
久しぶりの受験勉強でいっぱいいっぱいになっており、やっと落ち着いたところです。

現在は市中の総合病院に勤務しながら来年春の開業について準備中です。

心境としては1日も早く開業したいのですが、開業時期を年度替りとさせていただいたのは、臨床研修医指導を最後まで責任を持って務めるためでもあります。

日本で医師になるためには、一般的には高校を卒業後、医学部に入学し、6年間の教育を受け、医師国家試験に合格することが必要です。
医学部以外の大学を卒業されてから医学部に編入する方もいます。

医師国家試験合格後は、春から初期臨床研修が開始され、2年間で内科、外科、麻酔科、救急科、産婦人科、精神科など、様々な診療科をローテートしながら診療スキルを身につけていきます。
1つの診療科はおおよそ1ヶ月程度で研修することが多いです。この初期臨床研修は2004年より義務化されています。

初期臨床研修修了後に、それぞれの専攻診療科に特化した診療を行い、スペシャリティを身につけていきます。

現在勤務している病院にも初期臨床研修がローテートしており、皮膚科・形成外科を希望してくれる研修医も多くいます。

将来皮膚科医、形成外科医になりたい研修医はもちろんですが、将来他の科に進む予定だけれど皮膚科・形成外科を勉強したいと思いローテートしてくれた研修医に、回って良かったと思ってもらえる研修を目指しています。

人に教えることは、自分ががしっかりと理解していなければ教えられないのはもちろんですし、教える中で気がつくこともたくさんあります。

縁あって指導することが出来た研修医には、知り得る技術・知識は可能な限り伝授することはもちろんですが、私自身がこれまで多くの先輩ドクター達から聞き得たちょっとした小話や、医学には関係のない、今後の人生に役立つような話をすることも心がけています。

現在ローテートしてくれている研修医が次週からまた別の科に異動となるので、何か役に立つことを、と考えて、こんな話をしました。

「3つのキャリアを掛け算して、100万分の1の人材になる」

私がこれを最初に目にしたのは、雑誌PRESIDENTの記事だったと思います。
その後ホリエモンこと堀江貴文さんも同様のことをおっしゃっているのを拝読しました。

3つの点はひとそれぞれ違いますし、違うから良いのです。
私の場合は、「女性医師、皮膚科医、形成外科医」であったり、「形成外科専門医、母、開業医」かもしれません。
ちなみに、2019年4月現在で、日本形成外科専門医である女性医師は全国で762人しかいません。

点が1つしかない世界よりも、2つ、3つとなることで、見える世界が変わり、出来ることが増えます。

研修医の先生にこの話をしたところ、「他の科の先生で同じような話をしてくれた先生がいました!」とのこと。

詳しく話を聞くと、医師には2通りのキャリアがあり、1つはI型、もう1つはH型だ。
1つを深く掘り進めることも大切だが、2本の柱があり、それぞれが行き来出来るキャリアを築くと、その医師の価値が高まるよ。
との内容でした。

この話を研修医にした先生は、同じ病院に働く内科医であり、内科ではない他科の私から見ても非常に優秀で信頼出来る先生だと感じていた医師でした。
そんな先生と同じような考えをしていたことを研修医に教えてもらい、一人自己満足に浸っていました笑。

私が皮膚科に本腰を入れて勉強し始めたきっかけの一つは、形成外科も皮膚科の体表のスペシャリストですが、それぞれアプローチが少し異なり、両者を知っていることでより良い診療を提供できると感じたからです。

以前、慢性創傷(なかなか治らない傷)プラス皮膚炎合併で形成外科を受診された患者さんがいました。
いろいろと治療したのですがなかなか良くならず、皮膚科の先生に相談したところ的確なアドバイスを頂け、劇的に改善した経験がありました。

「皮膚科の先生、すごいな」と感激したのを覚えています。

私もしっかり勉強しようと思い、とあるクリニックで修行させていただきました。
私の尊敬する皮膚科医の一人です。

皮膚科医、形成外科医、それぞれ考え方、軟膏の使い方、手術のしかたなど細かな違いはありますが、最終的には患者さんの治療が良い方向に行くことが大切です。

様々なアプローチ方法を知っていることは、より多くの武器を持つことになりますので、医師としての幅を広げてくれることと思います。

より広い視野から、患者さんそれぞれに適した治療をご提案できるようにしてまいります。

みなさまとお会い出来る日を心待ちにしております。

院長