キズをキレイに治す為に
当院では、地域のかかりつけ医として、日常生活で生じる様々なケガの対応も積極的にしていきたいと考えています。
私自身スポーツが大好きで、これまでバスケットボール、陸上、水泳、テニスやスキーなど幅広くやってきました。
特に子供の頃は体育の授業や部活動などで積極的に体を動かして欲しいと思います。
スポーツにケガはつきものです。
深い傷で縫合が必要な場合はもちろんのこと、軽い擦り傷や、やけどなどは特に最初の治療が肝心です。
例えば、「校庭で転んでしまった」など、キズに砂利が入ってしまった場合、しっかりと砂利を洗い流しておかないと、キズの中に砂利がそのまま残り埋め込まれてしまいます。
人間の体は良くできているので、「これは異物だ!」となれば大きな異物は自然に外に追い出してくれますが、細かなものはそのまま残ってしまいます。
キズの治りたては赤みがあり、その異物になかなか気がつかないのですが、だんだんとキズが治り、赤みが引いてくると青や、黒っぽい色が残ってしまうことがあります。
これを「外傷性刺青」といいます。
もちろん治療法はあるのですが、防げるものですので、最初の手当てが大切です。
当院では、なるべく痛くないように前処置をさせていただき、キズの中にある細かな砂利などを取り除く処置が可能です。
縫合が必要なキズは、形成外科医の腕の見せ所です。
同じキズでも、どんな風に縫合したかで全くキズの運命は異なります。
異物はしっかり取り除いたか、部位や、キズの深さに合わせた縫合糸を選択しているか、縫い方や縫合後のケアは適切か、など気を配らなければならないことはたくさんあります。
私が小さい頃は、転んで膝を擦りむいた時に、家にある「マキロン」で痛い痛いと泣きながら消毒してもらった記憶がありますが、現在キズの消毒は推奨されていません。
それは、消毒によって正常組織を痛めてしまいキズの治りを悪くしてしまうからです。
また、キズを見るのが怖いからと言って全く洗っていない方や、ドロドロに溶けたキズパワーパッドを貼りっぱなしにしてキズを感染させ、浅いキズが深くなってしまうこともあります。
キズパワーパッドに代表される創傷被覆材は非常に優れものであり、古くはラップ療法、現在は湿潤療法と呼ばれる、「かさぶたを作らず、傷を乾かさずに治す」ための優秀なツールです。
ですが、傷が治りやすいということは、細胞が心地の良い環境、つまり細菌なども繁殖しやすい条件が整ってしまうのです。
また、キズからは浸出液と言って、キズを治すために有効な成分が入った液体が出てきますが、これは多すぎても、少なすぎてもダメなのです。
キズの専門家でない患者さんがご自身で適切にコントロールするのはとても大変です。
キズの様子を見ながら、「今、どんな治療をするべきか」を患者さんごとに考えて、なるべく早く、綺麗に治るようサポートさせていただきます。
院長