気づいたら早めにご相談を

小さなお子様は、自分の症状をうまく言葉で伝えられないことが少なくありません。 そのため、気づいた時には、ひどい状態になっているケースもしばしばです。 保護者をはじめとする近くの大人が、お子様の皮膚変化に気づきましたら、早めに相談にいらしてください。

子どもの皮膚の特徴

皮膚の大切な役割の一つに、外部環境から体を保護する「バリア機能」があります。そして、このバリア機能を働かせるにあたって重要な皮膚組織が、皮膚のいちばん外側を覆い、外部と触れ合っている角層です。角層の厚みは大人でも0.01~0.03mm程度と薄く、子どもですと、さらにその半分~3分の1くらいの厚みしかありません。
また、角層の表面は皮膚を乾燥や刺激から守る皮脂で覆われていますが、子どもの場合は成長の時期によって、皮脂の分泌量がそれぞれ変化します。

皮膚バリアを整えることが大切

このように、子どもの皮膚は角層が薄く、また皮脂の分泌量が不安定なことから「バリア機能」がまだ十分に働いていません。したがってちょっとしたことで湿疹や皮膚炎が生じたり、細菌やウイルスに感染したりするなど、皮膚トラブルが生じやすい特徴をもっています。それだけに、しっかりとスキンケアを施して皮膚バリアを整えることが、子どもの皮膚の健康を守るためにはとにかく大切です。
保護者の方には、お子様のスキンケア法についてアドバイスいたします。

小児によくみられる皮膚疾患

あせも

あせも(汗疹)とは、汗をたくさんかいた後に、皮膚に細かい水ぶくれやブツブツが現れる皮膚疾患のことです。
汗をかきやすい夏場に多く、小児に発症しやすい疾患ですが、高熱を出している方や高温の環境下で作業している人にも見受けられます。
あせもには、赤い丘疹が生じて痒みや軽い痛みを伴うタイプ、小さな白っぽい水ぶくれができるタイプなどがあります。
あせもの治療にあたっては、症状に応じてステロイドや抗生剤の外用薬を用います。
あせもの再発を繰り返さないためには、通気性の良い服を着用し、汗をかいたらシャワーで流すか、こまめに拭き取るように心がけることが大切です。

おむつかぶれ

尿や便に含まれるアンモニアや酵素などに皮膚が刺激され、おむつの当たるところに赤いブツブツやただれが生じます(皮膚のしわの間にできている場合には、カンジダ皮膚炎(カビ)の可能性もあります)。
おむつかぶれの際は、排便時に洗面器にぬるま湯を張っておしりをよく洗い、亜鉛華軟膏やワセリンを塗ります。症状がひどいような場合は、弱いステロイド軟膏を塗ったりもします。悪化すると、どんどん皮膚のバリア機能が失われて負の連鎖がおこり、びらんが生じ治すのに時間がかかり、赤ちゃんも痛みがありつらいです。おしりが赤いなど異常を感じたら皮膚科を受診しましょう。

小児アトピー性皮膚炎

小児のアトピー性皮膚炎は、年齢によって皮脂の分泌量が異なるため、症状もやはり異なってきます。生後2~3ヶ月から1歳頃までのアトピー性皮膚炎では、顔や頭、耳にジクジクとした湿疹が出てきます。肘や足首などの関節部分に湿疹が生じたり、「耳切れ」と言って耳のつけ根がただれて切れてしまったりすることがあります。
2~10歳頃は手足の関節の内側や首、わきの下などにカサカサと乾燥した湿疹が出ます。また、季節の影響としては、夏場は皮膚の化膿や汗、虫刺されによる刺激でジクジクしやすくなります。冬場は空気の乾燥によって、かさつきや痒みが強くなり、かきむしることにより皮膚のバリア機能がさらに破綻し、悪化しやすくなります。アトピーが冬場に悪化することが多いのは、このためです。
アトピーの原因はその方の体質によって様々です。遺伝要素も大きいですが、環境要因として特に多いのがダニやハウスダストです。
アトピー性皮膚炎の疑いがある場合は、血液検査も有効です。当院でも実施可能です。
アレルギーテストの結果、アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関与があり、原因となる食物がはっきりし、除去する必要があると判断された場合は、その食物を除去するようにします。無闇な食事制限は栄養障害を招くリスクがありますので避けましょう。また、原因がわからない場合も多々あります。
湿疹に対しては、保湿剤やステロイドなどの治療薬を適切に用いてなるべく早く良い状態に戻しましょう。湿疹があると皮膚の正常なバリア機能が破壊されている状態ですので、食物アレルギーの発症リスクが高まるといわれています。
なお、アトピー性皮膚炎の治療にあたり、ステロイドの塗り薬に抵抗感をお持ちの保護者の方が少なくありませんが、症状に応じて必要な量を必要な期間だけ使い、症状が軽くなったら薬を減らしたり、弱いものに変えたりするように適切に用いれば、何ら心配はいりません。そしてお肌の状態が良くなった後は、保湿剤でスキンケアを続けることで皮膚のバリア機能が保たれ、再発予防にもなります。
当院では日本皮膚科学会ガイドラインに準じた標準治療を行っています。試してみたい治療法がある方も、一度まず皮膚科に相談してみましょう。

脂漏性皮膚炎

脂腺の多いところに生じる湿疹で、頭部や顔、胸背部などに出来やすいのが特徴です。新生児や乳児に多く見られますが、大きくなるにつれて自然に出来なくなってきます。
原因としては皮脂の成分の質的異常であり、皮膚の機能の老化が関係しています。また、でんぷう菌(マラセチア)の感染が関与することがあり、脂漏性皮膚炎の治療としては、強過ぎないように気をつけながら、しっかりと洗うのが基本で、その後にステロイド軟膏とでんぷう菌に効く抗真菌を塗ります。当院では、普段のケア方法などをライフスタイルに取り入れやすいよう、具体的にアドバイスさせていただきます。

じんましん

痒みの強い、わずかに盛り上がった赤い膨らみが数分~24時間以内にできて消えていく皮膚疾患をじんましんと言います。多くは痒みを伴いますが、チクチクとした痛みや、熱く焼けつくような痛みを伴うこともあります。
6週間以内に治るタイプを急性じんましん、それ以上の期間にわたって断続的に発症するタイプを慢性じんましんと呼びます。
じんましんの原因は、食べ物や内服薬、細菌やウイルスの感染など様々で、検査としては皮内反応や血液検査IgE RAST法、一般血液検査などを行います。ですが、慢性じんましんでは、原因が特定できないことも少なくありません。
じんましんの治療には、抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬などを使います。薬を内服すれば、多くの人は数日で症状が治まりますが、医師の指示に従って飲み続け、徐々に薬を減らしていくことが大切です。当院では、じんましんの原因を知るための血液検査を行うことも可能です。ご希望の方は、受診時にお伝えください。

虫刺され

虫刺されでは、虫に刺された直後から翌日以降に、その部分が赤く腫れたり、水ぶくれになったり、しこりになったりします。特に、小さいお子さんは腫れやすいものです。
痒いからといって患部を掻き壊すと、とびひ(伝染性膿痂疹)や治りにくい痒疹(痒みのある硬くなった皮膚)となり、長期化することがあります。そのため、毒性の強い虫に刺された場合や、腫れや痛み、ほてり、水ぶくれなどの症状がある場合は、皮膚科への受診をお勧めします。
皮膚科の治療では、ステロイド軟膏を短期間外用します。腫れや痒みが強い場合は、抗アレルギー薬を服用することもあります。

みずいぼ

みずいぼは、正式には伝染性軟属腫(なんぞくしゅ)と言い、伝染性軟属腫ウイルスによる皮膚感染症です。幼少児によく見られ、痒みを伴うことが少なくありません。
特に乾燥肌やアトピー性皮膚炎の患者さんに多く見受けられます。その理由としては、乾燥肌やアトピー性皮膚炎があると、皮膚の「バリア機能」が低下するため、細かな傷からウイルスが入り込みやすいことと、痒みで引っ掻くことにより、爪先からうつってしまうことなどが考えられます。
プールでよく感染しますが、水から感染するというよりも、皮膚間の接触やビート板の共有が感染原因となるようです。
みずいぼの治療では、専用のピンセットで一つずつ摘まみ、内容物を出す方法が一般的です。摘除するみずいぼの数が多い場合は、事前に麻酔のテープ(ペンレステープ)を治療の30分~1時間前に貼り、治療を行うこともあります。

とびひ

とびひは、皮膚への細菌感染によって発症し、人から人へとうつる疾患です。特にアトピー性皮膚炎の患者さんは、皮膚のバリア機能が低下しているため、とびひにかかりやすいので要注意です。
掻きむしった手を介して、水ぶくれがあっという間に全身へと広がる様子が、火事の火の粉が飛び火する様に似ているため、「とびひ」と呼ばれます(正式には伝染性膿痂疹)。
とびひの治療には、主に抗菌薬を使って原因菌を退治します。
また、必要に応じて抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬、亜鉛華軟膏なども用い、痒みや炎症を抑えます。

水ぼうそう

水ぼうそうは、水痘・帯状疱疹ウイルスに感染することで発症する感染症です。同ウイルスに感染すると、潜伏期間を経て、発熱とともに全身に小さな赤い発疹(ほっしん)や水ぶくれができるようになります。
その皮膚の発疹は、少し赤味をおびたブツブツや水ぶくれ、膿疱などが混ざるのが特徴で、頭皮にもできます。このほか、37~38℃程度の発熱もみられることがあります。感染力は強く、水ぶくれがすべてかさぶたになるまで感染力は続きます。かさぶたとなって治るまでには、約1週間~20日かかると言われています。
感染力がとても強いので、全ての発疹がかさぶたとなるまで学校は出席停止となります。登校を再開する際は、医師が作成した治癒証明書や登校許可書の提出が必要となるケーズが多いので、受診して下さい。

手足口病

手足口病は、口の中や、手足などに水疱性の発疹が出る感染症で、子どもを中心に、主に夏季?秋季にかけて流行します。コクサッキーウイルスやエンテロウイルスなどの感染によって起こります。感染経路としては、飛沫感染、接触感染、糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染すること)などが知られています。特に、この病気にかかりやすい年齢層の乳幼児が集団生活をしている保育施設や幼稚園などでは、集団感染が起こりやすいため注意が必要です。
症状としては、感染してから3~5日後に、口の中、手のひら、足の裏や甲などに2~3mmの水疱性発疹が出ます。発熱は約3分の1に見られますが、ほとんどはあまり熱が高くなりません。多くは、数日のうちに治ります。口の中の発疹が痛く、水分摂取が困難となり、脱水になりやすいため注意が必要です。

とねり皮膚科・形成外科

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